風立ちぬ

スタジオジブリ、そして宮崎駿の最新監督作「風立ちぬ」を見てきました。ジブリの映画はもう何年も劇場では見ていなかったのですが、別の映画を見に行ったときに流れていた4分の予告編で不意に泣きそうになってしまい、久々に映画館で見たいと思い、早速見に行ってきました。

以下、ネタバレ含むので、未見の方はご注意ください。

「風立ちぬ」は、僕にとって非常に怖い映画でした。映画の中で主人公の二郎は夢と現実、あの世とこの世を行ったり来たりして、最後は地獄のような場所に行き着き、その中で生きて行くことを強いられます。僕にはそれはとても怖く思えました。

僕が一番おそろしさを感じたのは、二郎と菜穂子との結婚のシーンです。
病院から抜け出し、有り合わせの結婚衣装をまとい、二郎の下宿している屋敷の離れに廊下を渡ってくるシーンの菜穂子は映画のトーンから逸脱した美しさで描かれます。その美しさは、まるで亡霊や幽鬼のようで、その後に二人がつかの間の結婚生活をおくる屋敷の離れも半分”あの世”のようでした。

病院を抜け出した時点で菜穂子は半分”この世”のものではなく、二郎が零戦を完成させようとする人あらざるものの力(時代の力、宿命、業)の象徴、化身のようなものだったのではなかと。

二郎が零戦を完成させると、菜穂子は二郎の元を去り、高原の病院に戻ります。そして、そのまま亡くなったことが暗示されますが、これは二郎の元を訪れた菜穂子が既に半分”この世”のものではなかったことを示しているように思えてなりません。

ロバート・ジョンソンが十字路で悪魔に魂を売り渡し、変わりにギターのテクニックを得たという伝説がありますが、主人公の二郎も夢の中のカプローニや病院から抜け出して自分の元にやって来た菜穂子と接することで零戦(美しい飛行機)を完成させます。二郎にとってカプローニや菜穂子が悪魔だったとして、売り渡した魂はいったいなんだったのでしょう?

愛し愛されること?
自分の生まれ育った国?
それとも、飛行機以外の何もかも?

また、この映画では二郎が宮崎駿自身、飛行機がアニメの隠喩になっているわけですが、最後にカプローニが夢の中で”今”を「地獄と同じような場所」と表現します。宮崎駿はアニメのために悪魔に魂を売り渡し、そして魂を亡くして地獄と同じような場所を生きているのだという独白のように感じました。そして、秋に公開される「夢と狂気の王国」というでドキュメンタリーのタイトルに改めて納得をさせられました。

 


コンプライアンス-服従の心理


コンプライアンス-服従の心理を見てきました。
2004年にアメリカで実際に発生した警官を騙ったイタズラ電話によって発生した少女暴行事件を元にした映画です。

映画の上映中ずっと何ともいえない不快な感覚に襲われ、やや誇張ではありますが吐き気を覚えるほど後味の悪い、不愉快な話でした。しかし映画として見た場合、非常に低予算(と思われる)密室劇でありながら全編にわたって緊張感が途切れることなく、見るものを引きつけて離さない、すばらしい作品だと思います。

本作は、実話を元にしているとはいえ、あまりに荒唐無稽なので、「こんなのに騙されるヤツは。。。」と他人事と思ってしまいがちですが、監督(おそらく事件の犯人も)がミルグラム実験(アイヒマン実験)を下敷きにしているため、決して他人事ではありません。権威に承認され、その権威に責任をゆだねてしまった時、人間の倫理や道徳の”枷”がいとも簡単に外れてしまう可能性があるということは、ミルグラムの実験からも、そしてこの事件からも明らかです。。。

この話の何が吐き気を催すほどに不快だったかを振り返って考えると、それはおそらくのぞき見た自分の心の中の脆弱な倫理や道徳と、それ故の不安感だったのではないかと、映画を見た後でスタンレー・ミルグラムの「服従の心理」を読みながら、そんなことを思いました。


サーキュレーター購入

夏にむけてサーキュレーター購入しました。

今更感ありますが、上手く使えばエアコンだけよりも、エアコン+サーキュレーターの方が電気代を安く出来るということなので、ものは試しです。

どれを買おうかと少し探してみたのですが、思いのほか高いので、ひとまず安いものを買ってどのくらい効果があるのか確かめようと、音が小さいらしいエフィール サーキュレーター ENC-20を購入しました。

まだエアコンは使っていませんが、少し使ってみた感想としては、思った以上に使えます。帰宅したときに部屋の空気がこもっている時なんかは、10分くらい窓にむけて排気すると、体感温度がずいぶんと違います。さて、上手く電気代の節約になってくれるといいのですが。。。


Red River – Blood Red Shoes


今更ながらBlood Red ShoesのEPが出ていたことに気がつきました。Red Riverいいですね。3rdアルバムのIn Time to Voicesは、個人的に今ひとつしっくりこなかったのですが、Red Riverは好きな感じです。

ちなみに、1stのBox of secretsも好きなのですが、2ndのFire like thisが一番好きだったりします。


プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ


プレイス・ビヨンド・ザ・パインズを見てきました。
以下、確認に触れるので未見の方はご注意ください。

おもしろかったです。”映画”を見たなぁ。という、そんな余韻に浸ることの出来る映画でした。

サーカスのバイクスタントマンとして各地を点々とし、息子のため自分のために銀行強盗に手を染めて行くルーク(ライアン・ゴズリング)、誤射によってルークを射殺してしまう正義感にあふれる新米警官のアヴェリー(ブラッドリー・クーパー)、そしてルークの息子ジェイソン(ディン・デハーン)と主人公がだんだんと入れ替わるように映画は進んで行きます。

僕は特に冒頭からルークが射殺されて、アヴェリーに主人公が入れ替わる流れが好きでした。画面の緊張感と焦燥感、それからルークのどうしようもない不器用さと生き急ぐような悲しさが、たまらなく魅力的です。

ルークの息子ジェイソンも、登場シーンではありまい印象に残らなかったのですが、最後にバイクで去って行くシーンには彼が主人公だと確信できるかっこよさがあって、あの陰鬱印象の少年がこうなるのかという驚きと同時に、3人の主人公を通して紡がれた物語が希望(ハッピーエンドではないと思うのですが)をもって終わったことに、人が生きて行くことは灰色の細い道を歩いて行くということなんだなぁという思いと、なんともいえない心地よさを感じました。

冒頭3分の特別映像も公開されていますが、これ、本当にかっこいいです。僕はここからルークが射殺されるまで、本当に息つく暇なく釘付けにされていました。

あと、ジェイソン役のディン・デハーンが出演しているクロニクルという日本未公開の映画があるようなので、それもぜひ見てみたいなと思っています。